駐在記者・真鍋武が体験したリアルな中国

<駐在記者・真鍋武が体験したリアルな中国>低価格かつ低品質

2015/08/06 19:46

週刊BCN 2015年08月03日vol.1590掲載

 ある日系IT企業が入居するビルで珍しいものをみつけた。エレベータのドア開閉ボタンが手づくりのボタンなのである。中国では、エレベータ1台につき、1か月で最低2回、2人の点検員による点検が法律で義務付けられているため、安全性に問題はないが、なんだか少し不安な気持ちになった。

 一般的に、中国のローカル企業は、高品質で高価な製品よりも、機能を最低限に抑えた安価な製品を好む傾向がある。トラブルを未然に防ぐ意識は薄く、問題が発生してから解決すればいいという考え方だ。このエレベータの管理人は、純正品のボタンを調達してきちんとした見栄えにするよりも、お金をかけずにすぐに使えることを優先して、手づくりで開閉ボタンを修復したのだろう。

 日系IT企業は、ローカル企業が製品を受け入れてくれるように、余分な機能をそぎ落として、低価格での提供に努めているが、ローカル企業の品質への要求は想像以上に低いのかもしれない。

エレベータのドア開閉ボタン。老朽化で壊れたのだろう。右側の閉じるボタンが手づくりのものを使って修復されていた
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