専門店で食べるラーメンと自宅でつくるラーメンの決定的な違いは、「スープ」の味です。ラーメン屋の店主たちは、長年をかけて、スープについての“研究”を行い、その結果、ようやく絶妙な味のスープにたどり着いています。だからこそ、プロがつくるラーメンのスープは、健康にはあまりよくないと知りながらも、おいしいのでついつい飲んでしまうという意味で「悪魔の汁」と呼ばれるほど、著しい進化を成し遂げてきました。
麺、スープ、玉子――。考えてみると、ラーメンはもともと、差異を明確しにくい「低付加価値」の食べ物といえるでしょう。しかし、名店で修行した若手が独立して、自分の店を開くことが多くなっている事情もあって、ラーメンの材料や調理法、店舗のつくりに多様性が生まれてきています。そのおかげで、かつては「シンプル」だったラーメンが「凝った」食べ物に変わり、玉子を入れて1000円前後もする「高付加価値」の食べ物になったのです。
IT業界では、クラウドの普及が本格化していますが、ラーメンと同じように、(価格以外での)差異化が難しいクラウドインフラにいかに「価値」を付加するかが、案件を獲得するうえでの課題になっています。
そんななかにあって、注目を浴びているのは、ビッグデータです。インフラにデータ解析ができるツールを加えることによって、クラウドを「凝った」商材として展開する動きがみられるようになってきたのです。(ゼンフ ミシャ)
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経済産業省 クラウドとビッグデータで新たな領域を拓くメールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.2.25」より