北斗七星

北斗七星 2015年1月19日付 vol.1563

2015/01/22 15:38

週刊BCN 2015年01月19日vol.1563掲載

▼パナソニックやシャープなどの電機メーカーが、国内生産へ回帰する方針を示している。雇用情勢が厳しい地方からみれば歓迎すべきことだが、せっかく進出した中国/ASEANなどの成長市場での足場を弱めることにならないか。電機製品では水平分業と生産規模の大きさが、競争力や利益増につながるだけに懸念が募る。

▼情報サービス業界でも、ソフト開発の国内回帰が進むかもしれない。日本のソフト開発の一大生産拠点である中国は、人件費上昇や円安/人民元高の影響でコストメリットが薄れているからだ。

▼「中国は、人件費が高いから……」と安易に捉えるのは早計だ。ちょっと視点を変えるだけで、活路を見出すことができるのではないか。日系ITベンダーのなかには、中国でのソフト開発を「コストセンター」から「テクノロジーセンター」へシフトさせ、中国国内での成長エンジンにする動きがある。中国は人材の宝庫。多くの優秀なエンジニアがいる。

▼生産の国内回帰は、耳当たりのいい言葉だけで語られるべきではない。どの市場で成長すべきなのか、グローバルビジネスの戦略性を伴う判断が強く求められる。(寶)
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