今日のひとことWeb版

客先のキーパーソン

2014/10/21 15:26

 世界を相手に商売をする貿易の世界は、ITの導入がとくに進んでいる分野の一つだと思い込んでいたのですが、実は違うということを、取材を通して知りました。実態は、紙の帳票をやりとりするケースがまだまだ圧倒的に多く、行政でも電子化の動きは始まったばかりです。

 実際は、「今どき、紙に依存した仕事なんてナンセンス」と多くの人が思ってはいるのでしょうが、帳票類の管理を電子化して業務プロセスを変革しようとしても、先行事例がほとんどないこと、さらには既存の業務フローの抜本的な見直しが必要になることから、二の足を踏む企業が多いようです。

 しかし、船舶用電子機器メーカーの古野電気は違いました。貿易帳票管理電子化プロジェクトを主導した前田起代さんは、これまでのやり方にとらわれることなく、社内の関連部門に業務フロー改革をいかに納得してもらうか、電子帳簿保存法などの法的要件をどうクリアするかといった課題を、一つずつ淡々とつぶしていきました。この案件を担当したITベンダー側の担当者も、「社内調整はもちろん、税関や国税局など、お役所に相談して、彼らから的確な対応を引き出すというのは、できそうでできない。すごい行動力だ」と脱帽の様子。

 こんなとき、ITベンダーはある意味で無力です。結局、ITを使って業務を改革しようとするユーザー側の本気度が、受注の成立やプロジェクトの成功の主要因になるからです。しかし、客先のキーパーソンをしっかり見極め、ニーズをていねいに汲み取り、必要な情報提供をしながら提案をブラッシュアップしていくことは、プロジェクトの成果を最大化することに、きっとつながるはずです。(本多和幸)

【記事はこちら】
<THE決断!ユーザーのIT導入プロセスを追う>貿易帳票の業務フローを刷新 強力なプロジェクトチームが成功に導く
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.10.21」より
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