円安がじわじわと進行しています。1年前は1ドル90円台後半だったものが、10月1日に、およそ6年ぶりとなる110円を記録。年末に向けて、さらに円安が進むと予測している専門家は少なくありません。

　輸出を主業とする日系企業にとって、円安はよいことかもしれませんが、対日オフショア開発を手がけるITベンダーにとっては憂慮すべき事態です。中国では、ただでさえ人件費が高騰している状況。円安が追い打ちをかけて、利益を捻出できなくなってしまいます。

　先日、深セン市で取材したローカルITベンダーは、すでに対日オフショア開発に見切りをつけ、中国国内向けビジネスに大きく舵を切っていました。現在では、逆に日本の地方ソフト開発企業に対して、システム開発の一部を発注することがあるそうです。「日本の企業は技術力が高く、コストも中国と同じくらいだ」とのこと。

　中国は12月が決算期ですので、今、現地の総経理は2015年度の予算組みに追われているところでしょう。来年度以降、対日オフショア開発をどう扱っていくのか、各社は、今まさに岐路に立たされているといえそうです。（上海支局　真鍋武）

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