中国の国家発展改革委員会は、8月20日、独占禁止法に抵触しているとして、日系の自動車部品メーカー10社に対し、合計約12億元(約200億円)の制裁金を科すことを発表しました。自動車部品に関して価格カルテルを結び、完成車の価格を不当に押し上げたことで、消費者の利益を損なっているとしています。7月には、中国国家工商行政管理総局が、同じく独占禁止法抵触を理由に微軟(マイクロソフト中国)を調査するなど、このところ、中国政府が外資系企業の取り締まりを強化している印象を受けます。
日系ITベンダーに関しては、中国政府から独占禁止法の疑いをかけられる可能性は薄いでしょう。なぜなら、日系ITベンダーは、中国で市場を独占するほど成功を収めていないから。むしろ、日頃から取材していると、「政府機関や国有企業のシステム入札案件では、日系というだけで受注できない」という不満の声を頻繁に耳にします。重慶市と戦略的パートナーになっているNECなど、日系ITベンダーにもいくつかの成功事例はあるものの、大部分は獲得できていません。
この理由について、当の日系ITベンダーにたずねると、口を揃えて「中国系ITベンダーが優遇されているうえに、日中間の政治摩擦が悪影響をもたらしている」という答えが返ってきます。これが事実なら、日系ITベンダーに対する公平な競争機会が失われていることになります。政府系案件の入札が独占禁止法の範囲外であるにしても、中国政府が公平さを重視するなら、政治と経済はきっちりと切り離して、中国系ITベンダーによる“独占”がないのか、目を向けてほしいところです。(上海支局 真鍋武)
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中国政府、マイクロソフト中国を調査、市場独占の地位乱用の疑いメールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.8.22」より