▼知り合いとみるや、同席者にかまわず宴席に引っ張り込む。カラオケとゴルフが大好きで、湿っぽいことが何より嫌い。会計ソフトの“レジェンド”と、最近流行の言葉で賞賛したりすれば、天国からゲンコツが飛んできそうだ。

▼PCAの創業者、川島正夫相談役が逝去された。享年79。東京・護国寺での葬儀には多くのIT業界関係者が参列して、故人を偲んだ。ソフトバンクの孫正義社長が創設したコンピュータソフトウェア協会（CSAJ）の四代目会長でもあった。インターネットが高速大容量化した2000年から4年間、最も活気ある時代を演出した。

▼「保守契約率が低いんだ」。PCAでいったん会長に退き、再び会長兼社長に就いた06年の取材で、いきなりこう切り出した。保守契約率はソフト会社の生命線なので、公にすることは少ない。インタビューに同席した役員の目が泳いでいた様子が印象に残っている。

▼この時から「ストックビジネスを増やしたい」との意向がPCA全体に働いた。現在の業界初の会計クラウドは、その流れのなかにある。川島イズムはPCAのなかで生き続けることだろう。（吾）