BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『そんな営業部ではダメになる』

2014/07/03 15:27

週刊BCN 2014年06月30日vol.1536掲載

改革が腰砕けになる理由

 「今のままではダメだ。営業のプロセスをすべて見直して、大胆な改革を行う必要がある」。営業実績が落ち込んだ会社では、経営陣からこんな檄が飛ぶ。営業部の幹部たちは、現に成績が落ち込んでいるのだから、改革が必要ということに異を唱えるものは一人もいない。では、みんなが賛成したから改革は実現できるのか。答えは「ノー」である。必ず頭をもたげてくるのは、「総論賛成、各論反対」というやつだ。

 営業コンサルタントの著者は、指導先の営業マネジャーを集めた会議で「営業改革の成否は、マネジャーがどう取り組むかにかかっています。皆さんにはその覚悟はありますか」と確認する。すると、全員が「はい」と答える。そこで「まずは簡単なことからやってみましょう」と説明して、「営業マン一人あたりの一日の営業件数は、現状、およそ3件です。これを倍の6件にしてください」と指示する。それで1か月後の結果はどうかといえば、せいぜい1件増えただけの例がほとんどだ。未達成の理由をマネジャーたちにたずねると、もっともらしい言い訳が並ぶ。「量ありきではなく、件数は少なくても、質を考えた案件を丁寧に営業するほうが大切だというのが部下全員の意見なのです」などなど。

 営業改革の必要性は頭でわかっていても、それを実践するのはいかに難しいことか。著者のコンサルティング経験をもとに、どこに着目し、どんな手順で改革を進めていくべきかをわかりやすく解説している。(仁多)


『そんな営業部ではダメになる』
藤本篤志 著
日本経済新聞出版社 刊(850円+税)
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