北斗七星

北斗七星 2014年3月24日付 vol.1523

2014/03/27 15:38

週刊BCN 2014年03月24日vol.1523掲載

▼「海の上にある雲が迫ってきた」──東日本大震災から1か月後、宮城県女川の避難所にいた老人は、様子をたずねる私に「津波と雲を勘違いした」と重い口を開いた。毎年3月11日には、マスコミで被災や復旧の状況が数字で示される。だが、被災者の心は晴れることはない。

▼津波で大きな被害を受けた宮城県の住民と同じく、福島県の人々も苦しんでいる。原発事故でいまだに帰還できない人たちが大勢いる。日本は終戦間際の広島・長崎の原爆、そして福島を体験した。原子力の脅威は世界のどこよりも知っている。ならばと「脱原発」を叫べば、特定の思想集団を思わせて生臭い。原発を止めて次のエネルギーをどうすべきか、真の識者がいない。東京五輪まであと6年。原発なしでの大会実施は不可能なのか。

▼ITベンダーは、クラウドの登場でビジネスモデルの転換を余儀なくされた。オープン化の際もそうだった。そのつど適応してきたのだ。使用済み核燃料の廃棄を含めた環境整備を考えれば、原子力は永遠に使われるエネルギーでないことがわかる。被害の深刻さを知る日本だからこそ、ITを駆使して次世代のエネルギーを生み出したい。(吾)
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