今日のひとことWeb版

復興の中心にITがある

2014/03/11 15:26

 先週末は、「東日本大震災から3年」をキーワードにさまざまなメディアが被災地の現状を伝えていました。2011年の3月11日に東日本にいた人の多くは、あの日に思いを馳せずにはいられない――この時期はそんな気持ちになります。

 震災発生当時、ITとは別分野の公共インフラ系の情報を扱う媒体で記者をしていた私は、2011年の5月に初めて被災地を取材しました。仙台駅の近くでレンタカーを調達し、仙台市沿岸部から南三陸町、気仙沼市へと回ったと記憶しています。津波とその二次災害による凄惨な被害状況に暗たんたる気持ちになりましたし、何よりも現地の方々に話を聞くのが本当に辛かったことを覚えています。

 その後、定期的に現地を訪れるなかで、行くたびに進んでいる復旧のスピードに驚きと日本の底力を感じる一方、原発事故との兼ね合いや人的リソースの問題などで、復旧から復興への本格的な移行がなかなか進まない状況に歯がゆさを感じていたのも事実です。たまにおじゃまして、好き勝手なことを聞いて回るだけの記者がそう感じたのですから、被災地の方がずっと抱えてきた苦労・苦悩は推して知るべしです。

 しかし、今年こそ福島を含むほぼすべての被災地が、本格的な復興フェーズに突入しそうな予感がしています。未曾有の大災害からの復興を目指すからこそ、もともとの街よりも暮らしやすい住民中心の生活環境をつくろうという考え方が、スマートシティの実現というかたちで結実しようとしています。その中心には、ITがあります。

 『週刊BCN』は、3月10日号で石巻スマートシティの現在を取り上げ、さらに3月24日号では、震災後、会津若松市を拠点にスマートシティの知見を集積し、さまざまな復興プロジェクトに参画しているアクセンチュア福島イノベーションセンターの中村彰二朗センター長のインタビューをお届けします。

 テレビの震災特集で、現地の方が「忘れられるのが一番悲しい」とおっしゃっていました。そんなことは断じてありません。ITがリードする被災地の本格的な復興は、これから始まるのです。(本多和幸)

【記事はこちら】
東日本大震災から2年 新ITビジネスの進捗をみる(上)
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.3.11」より
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