今日のひとことWeb版
チャイナリスク
2014/02/07 15:26
私は、この問題は二つの側面から捉える必要があると考えています。すなわち、中国をコスト削減のための生産拠点としてみるのか、それともGDP世界第2位の市場を開拓するための営業先として捉えるのか、です。
製造拠点としてみれば、チャイナリスクは避けられません。人件費の高騰は、生産コスト低減を目的とする企業にとっては死活問題。さらに、低賃金と反日感情が相まって、従業員がストライキを起こす可能性も否定できません。
一方、営業先としてみれば、チャイナリスクはそれほど問題でないように思えます。人件費の高騰は、購買力が上昇している証ですので、市場開拓の機運が高まっているといえます。政治衝突も、営業展開と直結しているとはいえず、最近取材した中国ビジネスに積極的な企業の経営者は、「中国の企業が、日本製だからという理由で採用を控えることはない。日本の製品が売れていない理由は、認知されていなくて、マーケティングで負けているからだ」と語っていました。
むしろ危険なのは、中国での営業展開を前向きに検討しながらも、「チャイナリスク」という言葉に捕らわれて、進出をためらうことではないでしょうか。中国と政治問題を抱えていない海外のIT企業は、日系IT企業がためらっている間に、どんどん市場を開拓しています。彼らに市場を奪われてしまえば、後発の企業が中国でポジションを確立するのは容易ではありません。
私は決して、中国への進出をプッシュしているわけではありません。チャイナリスクをどう捉えるかは読者のみなさん次第。企業として、中国をどう捉えるのか、真剣に考えなければいけない時期を迎えていることは確かです。(真鍋武)
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