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富士通がサムスンを抜く

2013/11/26 15:26

 調査会社のIDC Japanが、先日、7~9月期のスマートフォン出荷台数を発表しました。前四半期からの大きな変化は、「iPhone 5s/5c」を発売したアップルが、台数シェアを36.1%から53.1%に大きく伸ばしました。新製品のインパクトに加え、NTTドコモからも発売したことが、大きく影響しているといえそうです。

 シェアは以下、ソニー、シャープと続くのですが、4位の座には、前四半期にドコモの「2トップ戦略」に選定された「Galaxy」を擁するサムスンに代わって、富士通が就きました。

 富士通の幹部は、2013年度第2四半期決算発表会見の場でも、スマートフォンからは撤退しないことを明言していました。「これからどうなるかわからない市場だから」というのがその理由でしたが、こうした実際の市場の動きが、「まだまだ勝負はこれから」と思わせる一つの根拠になっているのかもしれません。

 ただし、市場全体が伸びているようにみえるスマートフォンも、出荷台数は前年同期比で13.7%減。決して成長し続けているわけではありません。ビジネスPCにしても、Windows XPのマイグレーション需要で各ベンダーとも出荷台数は予想以上としていますが、果たして来年度以降の需要の落ち込みにはどう対応するのでしょうか。こうしたデバイスを含むハードウェアビジネスが、総合ITベンダーの経営の大きな不安要素になっているのもまた事実です。

 IBMはPC事業から撤退し、コモディティ化した技術を切り離して、収益性の高いビジネスにリソースを集中させる姿勢を鮮明にしています。本来、日本を背負うベンダーとして、世界の市場で伍していく存在の富士通やNECは、どんな決断をするのでしょうか。(本多和幸)

【記事はこちら】
大手ITベンダーの第2四半期決算 際立つハードビジネスの不安定さ SIerは水面下で収益構造を変革
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2013.11.26」より
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