▼本格的な雨期に入ったタイで、2011年の大洪水に続き、再び工業地帯付近が浸水した。「洪水は来ません。工場を建てましょう」。被害に遭ったバンコク東のプラチンブリ工業地帯には、それ以降、こんな看板が立てられたが、実際には近くまで水が来た。

▼ロイター通信や日本の一般紙が報じる前に、現地出張中のITベンダー担当者が発したFacebookで知った。現地に行くと、「安心」とされた工業地帯に、前回、別の場所で被害を受けた日系製造業が多く進出していたが、そこから出られない状態が続いた。

▼タイには、事業所をもつ日系企業が3500社程度ある。その多くで、日本人の現地駐在員の帰任ラッシュが起きている。地元のIT販売会社は、ここぞとばかりに新任者への挨拶回りを開始していると聞く。交替時の新規案件獲得と人脈づくりを急ぐためだ。

▼東南アジアのヘッドクォーターをシンガポールに置く日系企業が多い。実は、メコン側流域を次の製造拠点として狙う企業がタイにヘッドクォーターを置く例も増加傾向にある。進出を目指すなら、臆することなく人を派遣したい。（吾）