BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『若者の取扱説明書 「ゆとり世代」は、実は伸びる』

2013/07/11 15:27

週刊BCN 2013年07月08日vol.1488掲載

 いつの時代も年長者の若者をみる目は厳しい。とくに「ゆとり世代」といわれる年代層の評判は、はなはだかんばしくない。著者の齋藤孝・明治大学教授も最近の学生の言動に危惧を覚える一人だった。しかし先生は、つき合い方を変えれば「ゆとり世代は驚くほど伸びる」ことに気づいた。彼らはサボり世代ではない。出された宿題は必ずやってくる。問題は、過剰な情熱というものをもたないことだ。だから、社会人になったら上司は物足りなさを感じてしまうのだろうとみる。

 では、どのようにして彼らの士気を高めたか。ポイントは三つあるという。

1.躊躇せずに「ハードトレーニング」を課すこと
2.全員一律に同じミッションを与えること
3.そして惜しみなく褒め称えること

 具体例として、「30秒全員プレゼン方式」がある。クラスの学生たちに「いい授業プランを考える」という課題を与えたら、積極的に発表する者がいれば、ひたすら指名を逃れようとする者もいる。そこで、全員発表方式に変えた。要するに、逃げ場をなくす仕掛けを講じたわけだ。さらに、テーマを与えて少人数で議論する場を設けた。キモは、「一人が発表したら、他のメンバーはとにかく褒めまくれ」というやり方だ。賞賛に刺激されて、各人のアイデアがどんどん膨らむ様子が手に取るようにわかるそうだ。

 学生と社会人では異なる面があるが、モチベーションを高めるのに参考にしたい書である。(仁多)


『若者の取扱説明書 「ゆとり世代」は、実は伸びる』
齋藤 孝 著
PHP研究所 刊(760円+税)
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