BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『なぜ、ぼくのパソコンは壊れたのか?』

2013/06/27 15:27

週刊BCN 2013年06月24日vol.1486掲載

 壊れたパソコンを修理するというようなことが書かれた本ではない。ビジネスマンの生き方を見つめ直すきっかけを与えるというのが著者の狙いのようだ。

 主人公は、大手家電メーカーでマーケティング・グループを率いるマユクというマネジャーである。いつものように残業続きで資料づくりに精を出していた彼のデスクのパソコンに、「従業員に関するお知らせ」というメールが届いた。人事部からの連絡かと思ったマユクは添付ファイルをクリックした。すると、とんでもない事態が生じた。パソコンの画面が真っ白になって、「きみはキューブモンスターの言いなりか?」という一文が表示された。脇目もふらずに仕事に没頭している姿をキューブモンスターというらしい。

 不思議なことに、こんな現象が起きているのはマユクのパソコンだけだった。ITの専門部署に持ち込んで調べてもらっても、「異常なし」。次の日からマユクはこのウイルスに悩まされ続けることになる。

 彼は我慢してパソコンを使い続けていたが、やがてウイルスが何を伝えようとしているかをおぼろげながら理解するようになった。「じぶんコーポレーション」という架空の会社をつくって株価を上げよというのだ。部下とコミュニケーションをとり、奥さんや子どもなど家族を大事にすることが株価を押し上げることに気づいた。こうして、マユクの仕事一辺倒のライフスタイルは大きく変わっていった。それがどんな効果をもたらしたかは、読んでのお楽しみ。(仁多)


『なぜ、ぼくのパソコンは壊れたのか?』
マイナク・ダル 著
上原裕美子 訳
日本経済新聞出版社 刊(1000円+税)
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