いまさら聞けないキーワード

<いまさら聞けないキーワード>トレーサビリティ

2013/03/14 15:26

週刊BCN 2013年03月11日vol.1472掲載

【トレーサビリティ(Traceability)】
商品の生産履歴や流通経路を確認できる状態にすること、またはそのためのシステム

 英語の「Trace」(追跡)と「Ability」(能力)をあわせた言葉で、直訳すれば「追跡可能性」。商品の品質や安全性を確保するために、生産履歴や流通経路などの情報を記録・蓄積して、後から確認できる状態にすること、またはそれを実現するためのシステムを指す。古くから工業製品や医薬品の分野で導入が進み、日本では、2001年にBSE(牛海綿状脳症)問題が発生して以降、牛肉の安全性の確保が重要視されたことをきっかけに認知が広まった。

 特定の商品について、原材料や構成、生産者名などの基本情報と、いつ、どのような工程を経てつくられたのか、どのような流通経路をたどったのかという情報を、バーコードやICタグを活用して、データとして記録・蓄積する。これによって、不良品の出荷など、不測の事態が起きたときに、商品がいまどこにあるのかを把握したり、発生原因を究明したりして、迅速に対応することができる。また、消費者から商品の安全性に関する問題点を指摘されたときには、記録した詳細な情報を提示して説明責任を果たすことができる。消費者にとっては、より詳細な情報を確認できるので、安心・安全な商品なのかを吟味して購入できるというメリットがある。

 とくに農業の分野では、トレーサビリティの活用が注目されている。農業では、現在でも産地や生産者など、基本的な情報だけを管理しているケースが多い。そこで、個々の農産物の温度や湿度、農薬の使用量などの情報を記録して、これを消費者に伝えることで安全性や品質の高さをアピールし、農産物の高付加価値化につなげようというわけだ。こうした付加価値の高い農産物は、農薬の大量使用などで自国の農産物に信用が置けない国で人気を集めている。
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