旅の蜃気楼

新しい東京駅と本紙のリニューアル

2012/10/11 19:47

週刊BCN 2012年10月08日vol.1451掲載

【東京駅発】子どもの頃、岐阜の田舎から初めて東京へ出てきた時、わくわくしながら、お上りさんをした記憶がある。2012年10月1日、東京駅がリニューアルオープンした。早速、出かけた。

▼駅舎をバックにしてカメラに向かってポーズをとっていたら、「奥田さーん」と声がかかった。「おや、東洋経済新報社の山田雄大さんじゃないですか」。聞けば、八重洲口側にある会社に帰る途中、わざわざ丸の内側に回って駅舎を見にきたとのこと。「お互いお上りさんですね」と大笑い。『週刊BCN』は来週発行の10月15日号(通巻1452号)で創刊31周年を迎え、それを機にリニューアルを行う。リニューアルつながりで『旅の蜃気楼』に東京駅の写真を載せようと思って、カメラ片手にやってきたのだ。

▼新聞の創刊当時の話だ。貧乏で記者の数が少なくて、いわんや外部に原稿を依頼するお金もなくて……、でも埋まっていないスペースが目の前にたくさんある。さてどうするかと悩んだ挙句、妙案が浮かんだ。「そうだ、ペンネームがいい」。ペンネームをいくつもつくって、切り口の異なるコラムを書こう。書き続けるうちに、褒められる記事もあって、もしかしたら自分は名コラムニストではないかと、うぬぼれたりもする。実際には失敗作のほうがはるかに多いけれど。

▼ニュース記事を書くのに比べて、コラムには集中力が求められ、書き終えたらがっくりと疲労感に襲われる。だけど、出来がよければ、「やった!」という感じだ。こうして書き続けているうちに1451回を数えた。今号をもって、『旅の蜃気楼』の新聞への掲載は最終回とします。よくぞここまできたものだ。読者の皆様の励ましがあって、やっとたどり着きました。心から感謝しています。これから先はネットでつぶやく予定です。

 Old soldiers never die.(BCN社長・奥田喜久男)

東京駅をバックに写真を撮っていたら、偶然、旧知のマスコミ人から声がかかった
  • 1

関連記事

『週刊BCN』創刊30周年を迎えて

<創刊30周年 特別企画>30周年を機に日中韓へ土俵を拡げる