北斗七星

北斗七星 2012年9月10日付 vol.1447

2012/09/13 19:47

週刊BCN 2012年09月10日vol.1447掲載

▼戦力的にみて上位チームに見劣りがするプロ野球・セリーグの広島東洋カープ。このチームが好調だ。9月3日現在、クライマックス・シリーズ(CS)の出場権を得られる3位に位置している。開幕前、この善戦を予測した評論家は少ない。この活躍ぶりに、隠された戦術に注目が集まっている。

▼広島の売りは、安定感抜群の「三本柱」となる前田健太、福井優也、バリントンの投手陣を擁している点にある。定石では、この3人の投手を上位の巨人や中日にぶつける。ところが、3投手は下位の阪神やDeNAの試合で登板機会が多い。なぜか。

▼理由は、下位チーム相手に確実に勝利を稼ぐため。上位チームは、広島投手陣の三本柱の研究には熱心だ。これ以外の投手の研究がおろそかで、取りこぼしもあり得る。勝てるところで確実に勝ち、負けそうな局面では善戦すればいいと割り切っている。

▼もしCSに出て、勝ち進んで日本シリーズに出場できたら、チームだけでなく広島地域の経済効果は計り知れないほど大きくなる。戦術を意図的に実行しているとすれば、相当優秀な戦略家がいるはず。シェア下位の企業にとって、参考になる“勝ち残りの手法”だ。(吾)
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