今日のひとことWeb版
中国の強気
2012/07/12 15:26
最大の理由は、背後にアジア最大の国内市場を抱えているから。彼らは、成熟市場のただなかにいる日本のSIerは、海外市場が喉から手が出るほど欲しいはずだ、と考えています。
足下をみているのではありません。中国のSIerは「ギブ・アンド・テイクでいきましょう」と提案しているのです。「ギブ」は日本からのオフショア開発やBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の発注であり、「テイク」は手を携えての中国市場開拓です。
中国へのオフショアソフト開発の発注額は、年間およそ3000億円。日本国内の受託ソフト開発やBPO、遠隔システム運用サービスなど、もろもろを合わせた10兆円市場の数%に過ぎず、多くの中国SIerは、まだ大きな伸びしろがあるとみています。
日本のSIerからみても、中国市場への進出に欠かせない地場のSIパートナーをつなぎ止めるためには、オフショアなどの発注量を減らせないどころか、むしろ増やしていかなければなりません。
これは、中国地場市場に向けたSIビジネスが十分に立ち上がった後で、「あなた(日系SIer)はもういらない」などと言われないようにするための保険でもあるわけで、裏を返せば、中国のSIerは「どう転んでも儲かる」のです。
中国SIerのしたたかな戦略を熟知したうえで、その戦略に乗るかたちで中国市場という果実を手にするのか、知らずに中国市場にのめり込んでいくのかでは、雲泥の差があるように思えてなりません。(安藤章司)
【中国有力SIerの記事はこちら】
<インタビュー・ものづくりの環>東忠集団(Totyu Group) 董事長 丁 偉儒「中国市場のスピードと日本の技術・ソリューションを結びつける」
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