BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『土井英司の「超」ビジネス書講義』

2012/06/21 15:27

週刊BCN 2012年06月18日vol.1436掲載

 年間に発行されるビジネス書の約2割、およそ1000冊を読破する著者が、ブックガイドの体裁を採りながら、時代の潮目を読み、実際に世の中を動かす力を身につける技術を紹介した一冊。「しかるべきビジネス書を、しかるべき読み方で読む。そうすることで、ビジネスチャンスはいくらでも見えてくる」という言葉で始まる「講義」は、ときにビジネス書の枠を大きく逸脱(「超」だからいいのか)しながら、「答えは自分で見つけるしかない」という結論へと導く。

 著者はいう。「すべてのビジネス書は陳腐化する」。読み進めれば必ずしもそうでないことはわかるのだが、時代を追ってベストセラーをみていくと、たしかに大きな潮目が見えてくる。例えば、1990年代前半まで一部の人のものだったビジネス書は、バブル崩壊による「翻訳書ブーム」とそれに続く「身近な著者」のベストセラーで一般化し、21世紀に入って「拝金化」。さらにリーマン・ショック前夜は「ツール・スキル・時間」をキーワードにした本が売れ、不況に陥れば、「ファンタジー化」する。

 著者は、情報化社会におけるビジネスのポジションを大きく「情報クリエイター系」と「情報ディストリビューター系」に分け、「ビジョンを持ってどの産業のどのポジションで働くかを考え、その仕事に役立つ実践的な本を選ぶことが大切」と説く。そして目指す方向に合ったビジネス書の読み方を指南する。この欄にブックガイドを紹介すると、何やら仕事を放棄しているような後ろめたさを感じるのだが、今回は杞憂だった。(叢虎)


『土井英司の「超」ビジネス書講義』
土井英司 著 ディスカヴァー・トゥエンティワン 刊(1000円+税)
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