BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『日本の文脈』
2012/06/07 15:27
週刊BCN 2012年06月04日vol.1434掲載
内田の『日本辺境論』(新潮社)と通底する日本人論と日本語論、日本文化を語り合いながら、主題はグローバルと対比して細部へと入り込んでいく。「日本人は(中略)人間の本性にそった自然なかたちでシステムをつくっている」という内田の言葉が本書の陽の部分を表すのに最もふさわしいと思うのだが、いかんせん、そのシステムはガラパゴスと揶揄され、変化を余儀なくされた。それでもまだ、日本の潜在能力と先端性に可能性を見出して、対話は大震災へ、原発へと移っていく──。
「文脈」としかいいようのない世界の広がりは、まるで論壇八艘飛び。グローバルで活躍する日本人が、地に足をつけて、大きく日本を俯瞰するのに役立つ一冊だ。(叢虎)
『日本の文脈』
内田 樹・中沢新一 著 角川書店 刊(1600円+税)
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