旅の蜃気楼
複数民族の文化が風味を醸す街
2012/05/17 19:47
週刊BCN 2012年05月14日vol.1431掲載
▼5月6日、昆明の空港を飛び立ち、上海で給油の後、成田に向かった。成田上空が近くなると、雲行きが怪しい。飛行機が乱高下し、機内のあちこちに気分が悪くなった人が……。黒雲の中を出たり入ったりしながら、およそ40分間旋回した後、着陸した。全員の拍手が鳴り響いた。
▼昆明は雲南省の省都だが、中国の最南端の内陸側にある街だ。チベットの山とメコン川にはさまれた田舎町ではないはず、と思いながら上空から見た昆明は大都会だった。雲南省の人口は4571万人。昆明の人口は533万人。省都は実に堂々とした街だ。上海の12年前の状況にあると感じた。昆明はまだまだ伸びしろがある。
▼昆明はベトナム、ラオス、ミャンマーと国境を接している。中国が南に経済活動を広げる拠点となる要所だ。昆明の成長に力点を置く政府の方針は納得できる。この地は、三国志の時代に諸葛孔明が攻めて、手中にしている。その当時から黄河文明が南に広がるうえでの要所だということがわかる。長い年月を経て、昆明は複数の異民族の文化を取り入れて街の風味を醸している。さらに南下して、ラオスとの国境に近い景洪に宿泊した。このホテルの入り口には大きな象のオブジェがある。雲南では、諸葛孔明も象を使う敵と戦っている。中国もここは南国の雰囲気だ。中国は、広くていろいろな顔をもっている。景洪から陸路で国境を越えて、ラオスに入った。国境をまたぐと、国の顔はガラリと変わる。(BCN社長・奧田喜久男)
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