北斗七星

北斗七星 2012年3月19日付 Vol.1424

2012/03/22 15:38

週刊BCN 2012年03月19日vol.1424掲載

▼3月11日の早朝、都心から東北に向かう高速道路は渋滞した。亡くなった方々の冥福を祈るために、多くの人たちが東北を目指したのだろうか。同時代を生きる私たちにとって、この日は特別の一日だ。遡ること89年前の1923年9月1日、関東大震災が起きた。死者・行方不明者は10万5000人余と記録にある。

▼私の父親はこの時に東京の日本橋に住んでいたようだ。父はこの日に家族をすべて亡くし、身寄りを失った。5歳の時だという。その後、父が31歳の時に私が生まれている。その記録は戸籍に記されている。しかし、父は死ぬ間際になって、「どうも年齢が三つ上らしい」と言い出した。大震災ですべてをなくしたせいで、不確かなのだ。

▼その後、親戚を転々と渡り歩いたようだ。過去を語らない人だったので、不明なことが多い。父の生き方と家庭環境は子どもに大きな影響を与えた。またその子どもにも多大な影響を与え、四代目にまでつながっている。東日本大震災の一瞬の大惨事は、被災者の方々の100年先までの生き方に影響を与える。大局的な政策だけでなく、最も身近な人たちの支えが求められている。それは無償の愛なのだ。(直)
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