加速度的に進むクラウドコンピューティングの普及。ただし、企業システムの重要な部分を除いて……。重要な部分とは、基幹業務システム(ERP)を指しています。機密情報満載のこの部分をSaaSで管理することを恐れている企業は多く、ましてや、パブリッククラウドとして使うのには抵抗があるのです。
しかし、キヤノングループのエス・エス・ジェイ(SSJ)は、果敢にも他社に先駆けて主力ERP「SuperStream-NX」のSaaS版を提供しました。かつて、キヤノンに買収される前の旧アルゴ21時代に人事管理を中心にしたERPで隆盛を極めた「SuperStream」。国産ERPのなかでの知名度はトップクラスで、企業がERPを選ぶ際には、必ずといっていいほど候補に挙がっていました。
しかし、買収前に人事系のパッケージに不具合が生じ、それを境に競合他社の追随を許し、シェアを落としました。それがいまは状況が一変。“ドメスティック”な製品だった「SuperStream」は、多通貨・多言語化に対応し、グローバルで使えるERPへと変身しています。再度、この市場で攻勢をかける準備が整いました。その武器が、SaaS版なのでしょう。(谷畑良胤)
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エス・エス・ジェイ 社長 大江由紀夫 先手を打って競争に勝つメールマガジン「Daily BCN Bizline 2012.2.20」より