旅の蜃気楼

中国市場のスピードに対応できるか

2011/12/08 19:47

週刊BCN 2011年12月05日vol.1410掲載

【上海発】日本のソフトウエアを海外に売ろう。元気なソフト開発会社が集まって民間団体として発足したMIJSが、昨年に引き続いて、11月25日に上海で2回目の日中企業の交流会を開いた。展示会を併設していたので、顔を出した。会場では、日中の企業間で熱気の入った商談が繰り広げられている。日本からはベンダー17社が参加した。

▼第1回のイベントはちょうど1年前だ。この間に中国はさらに市場を拡大した。1・5倍の成長は最低ラインだ。中国では倍増計画を耳にしても、そうなんだと納得してしまう。MIJSも海外販促活動を積極的に展開している。昨年の参加は14社、今年は17社だ。会場の熱気は昨年に比べて3倍増といってよい。

▼交流会の会場となったビル(上海マート)は、日系企業が多い虹橋地域の中心的なビルで、ここには大塚商会(上海)が入居している。ビルの前には高速道路が延びていて、夜ともなるとクルマのライトが近づいては流れていく。最初にこの光景を見たのは21か月前だ。クルマの量が増えている。市場は確実に拡大している。高速道路が龍(ドラゴン)のように見えた。

▼大塚商会(上海)の総経理・岩宮宏さんは、中国在住の8年目だ。中国人と日本人の仕事の仕方を聞いたら、まったく違うという。「中国人は、いいと思ったら、お金を工面してまず買って始める。日本人のように、お金が準備できたから買うということはない」。この速度の違いは大きな差となって現れる。業務提携に関しても、いいと思ったら、まず始める。その後に効果を考えて、つくり込む。MIJSと日中企業間の提携も同じようなズレが出てこよう。そのズレをどのように織り込むのか、考えている間に市場の速度に遅れてしまいそうだ。日本にいる人たちの判断が問われる。(BCN社長・奥田喜久男)

MIJSの上海カンファレンスは昨年より盛況だった
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