旅の蜃気楼

“アジアのハブ”で旧交を温める

2011/12/01 19:47

週刊BCN 2011年11月28日vol.1409掲載

【シンガポール発】夜のシンガポールはロマンチックだ。マーライオンは相変わらず、口から水を噴き出している。黄色や青色のスポットライトを浴びながら、勢いよく水を噴き出す。その正面には三つのビルを柱にしてその上に船を乗っけたホテル、マリーナ ベイ サンズ シンガポールがある。

▼10月のことだ。華僑の人たちが2年に1回集まる世界大会に参加することになった。シンガポールにいる知り合いを探したら、中村光明さんがおられることがわかった。東芝デジタルプロダクツ&ネットワーク社で「REGZA」の事業を担当していた方だ。30年以上も前から広報の担当者としてお世話になっていた。中村さんは「仕事で東京から出たことがない」というのが口癖だったから、驚いて、連絡を取った。「7月にシンガポールに赴任しました。どなたにもご挨拶なしで来たものですから……」。早速、会うことになった。夕方、「まず食事をしましょう」と、マーライオンと船が乗っかったホテルが見えるレストランで蟹と海老を食べた。目の前のベイエリアではショーが始まった。が、蟹を食べるのに夢中で一瞥しただけだった。

▼仕事の話になった。「シンガポールにいると、インド、インドネシア、タイが近い。先日、タイを視察してきました。シンガポールはアジアのハブですね」。東京からみたアジア。シンガポールからみたアジア。同じアジアとは思えないほど、異なるアジアが目の前にある。中村さんのいつもの口癖は、とんと聞こえてこない。中村さんは変化している。その後、タイの洪水があったり、ミャンマーの民主化があったりと、矢継ぎ早に大きな出来事があった。次回、中村さんにお会いするのが楽しみだ。この変化が日本の多くの人たちに伝播する時がやってきそうだ。(BCN社長・奥田喜久男)

マーライオンの前で懐かしい人と再会
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