BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『貢献力の経営』

2011/07/14 15:27

週刊BCN 2011年07月11日vol.1390掲載

 国内最大手SIerのNTTデータ・山下徹社長が上梓したのが『貢献力の経営』である。“貢献力”の意味するところは、コミュニティへの貢献を通じて、社会や企業の底力を引き出すこと。NTTデータ経営研究所の協力などを得て、さまざまな“貢献力”に関わる事例や実践コラムを多数収録し、コミュニティへの貢献のあり方や、成果につなげるポイントを分かりやすく示している。

 山下社長を本の執筆に駆り立てたのは、社会や企業経営の環境変化に起因する危機感だった。旧来の地域コミュニティよりも、SNSなどネットコミュニティが活性化し、企業においてはグローバル化や成熟社会における働く意味などが複雑に絡み合いながら大きな変化の波にされされている。NTTデータ自身も、1%未満だった海外売上高比率がわずか5年余りで10%近くに達し、さらには世界の情報サービスで「トップ5入り」(山下社長)を目指す。

 ただ、この目標を実現するには、企業や個々人の総力を結集する必要があり、なおかつ同質の力ではなく、多様な知見や価値観を織り交ぜた総力でなければ変化に打ち勝てない。モチベーションは、人との関わり合いのなかから生まれてくるものであり、その潜在的な力を引き出すコミュニティを形成するには、突き詰めればコミュニティに対する“貢献力”の発揮が欠かせない。

 この原点をもとに企業や社会の発展につなげていくための道しるべを山下社長は本書で詳しく述べている。(寶)


『貢献力の経営~押し寄せる課題に皆で立ち向かう仕組み』
山下 徹 著 ダイヤモンド社刊(1600円+税)
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