BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『変革のリエンジニアリング』
2011/06/30 15:27
週刊BCN 2011年06月27日vol.1388掲載
主人公は、総務経理部の担当部長を務める小林宏朗。勤務先のハネムラ金属精密は、このところ減収が続いている。小林部長は、専務と折り合いが悪く、業績検討会議ではしょっちゅう罵倒され、リストラの影に怯えつつ過ごしているという設定である。
捨てる神あれば拾う神ありで、生産管理本部の東海林公彦本部長が味方についてくれた。本部長は、小林に「この会社の課題が何か分るか?」と問いかける。小林は言葉に窮しながら「色々と、問題はあります」と答える。すると、本部長は「一つの問題を片づければ別の問題が湧きあがるということは、根本的な問題が解決されていない、原因が取り除かれていないことだよ」と諭すように話した。
「例えば、在庫が多いという問題があったとする。在庫を廃棄したり叩き売ったりして削減したとする。しかし、半年後にはまた在庫が増えている。(中略)その時だけ解決したように見えてまた同じ問題が発生するんだ。原因を踏まえて問題を解決するか、あるいは問題が発生しないように業務を変えることが『業務改革』なんだよ」。ここから、主人公の奮闘がスタートする──。物語のなかでは、悪役を演じる専務とのからみが、リアル感を醸し出す役割を果たしている。(止水)
『変革のリエンジニアリング なぜ社内では問題解決できないのか』
梶原秀之 著/中川義之 監修 ダイヤモンド社刊(1600円+税)
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