いまさら聞けないキーワード

<いまさら聞けないキーワード>スマートグリッド

2011/06/16 15:26

週刊BCN 2011年06月13日vol.1386掲載

〈一般的な解釈は…〉IPネットワークを活用して、電力の需要と供給を最適化する次世代電力網。

 直訳すると、「賢い電力網」となる。スマートグリッドは、IPネットワークを介して電力の流れを制御する機器同士を接続して、電力の流れを需給に応じて自律的に分散する仕組みである。そうすることによって、電力を必要とする所と必要としない所を区分して、ムダに電力を送らないようにしている。つまり、IT/ネットワークを活用することで、電力網内でエネルギーの需要と供給のバランスを図るわけだ。

 新興国を中心とする世界の電力需要が急増している状況にあって、スマートグリッドは、電力供給不足の問題を解決するための技術として注目を集めるようになった。中国などでは政府が都市インフラの改善を図り、都市単位でスマートグリッドを導入する動きが活発になっている。

 日本でも、例えば北九州市八幡東区で、政府の支援のもと、電力を効率的に使う「スマート・コミュニティ」を構築するなど、実証実験レベルでスマートグリッドの普及が進んでいる。北九州のスマート・コミュニティには大手ITベンダーが参加しており、スマートグリッドに関連するソリューションは、IT業界の今後の重要な商材になるだろう。

 日本では従来、新興国と比べてスマートグリッドの需要がそれほど大きくないといわれてきたが、東日本大震災・原発事故による電力供給不足の問題が浮上し、電力消費につながるスマートグリッドのニーズが急拡大している。これを受けて、スマートグリッドの市場開拓を図ろうと、大手ITベンダーが取り組みに本腰を入れているところだ。

 スマートグリッドは、公共の場所だけでなく、家庭単位での節電を実現するためにも有効な基盤となる。消費電力を計測する機器で、しかも通信機能を装備した家庭用の「スマートメーター」が、昨年あたりから普及しつつある。
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