旅の蜃気楼

ベトナムの通貨に頭が混乱

2011/06/09 15:38

週刊BCN 2011年06月06日vol.1385掲載

【ハノイ発】ベトナムを最初に訪ねたのは2000年10月30日のことだ。ホーチミン市が開設したソフトパークや、経済開発区を取材した。街中にバイクが駆け回り、人がうねっていて活気があった。アオザイと編笠姿の女性が天秤棒を担ぐ姿に、ベトナムらしさを満喫した。食べ物では、初めて口にしたパクチを、思わずティッシュに包んで捨てたのを思い出す。

▼今回のベトナム行きでハノイ空港に降り立ったのは、5月1日の夜だった。空港からタクシーに乗る。真面目そうな青年だ。ダウンタウンまでの道筋は暗い。花の市場を左に見てホテルに向かった。ホテルに到着。タクシーはなぜか車寄せにつけないで、車道に止まった。不思議だな、と思いつつ、料金メーターを見ると、「35」となっている。

▼ベトナムの紙幣は桁数が多い。この桁数の価値に頭が混乱する。1円が250ドンだから、100円で2万5000ドンとなる。「35」という数字はドルなのか。1ドルは2万ドン相当だから、もしそうなら70万ドンとなる。70万という数字に、「空港からホテルまでだぜ。なぜこんなに高いんだ」と混乱する。メーターを指差しながら「米ドルでいいよ」らしきことを英語のまったく喋れないドライバーは言う。仕方なく35ドルを支払う。どうも怪しいぞ。

▼ホテルのフロントで相場を聞いたら、15ドルだという。やられた。“雲助”だ。このところ中国のタクシーに乗る機会が多くなった。乗り心地はヒヤヒヤものだが、メーター料金は明確だから、安心だ。中国の安心(?)に慣れすぎていたと反省しきり。ベトナムの通貨の桁に慣れるのは一苦労だ。ベトナムでは料金交渉が当たり前という。中国の貨幣に換算すると、35ドルは200元相当だ。ずいぶん乗りでがある。この旅は気が抜けないぞ。(BCN社長・奥田喜久男)

雲助タクシーにご用心。事前の料金交渉が欠かせない
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