BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『文章力の基本 簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック』

2011/06/09 15:27

週刊BCN 2011年06月06日vol.1385掲載

 本書のサブタイトルにあるように、「だれも教えてくれない」のが、文章力の磨き方である。

 では、「よい文章」とは何か。言いたいことが明確な文章であると、著者は説く。頭を使わなくても、読めばすらすら分かる、ということだ。「最後まで読んで考えれば分かる」では、失格なのである。とくにビジネスシーンでは、胆に銘じておきたい文章表現の心得である。

 少し長い文章だが、例題を一つ。

 「総面積5万坪の我が社の工場は、今から25年前、社長が32歳のとき、画期的な基本技術を見出し、わずか5坪のプレハブの実験室で開発を始め、それを二人の仲間が支えて製品化に成功し、その後急成長した結果生まれたものである」

 どうです? すっと頭に入ってきますか? この例題を改善するとこうなる。

 「今から25年前、社長が画期的な基本技術を見出し、わずか5坪のプレハブの実験室で開発を始めた。32歳のときであった。それを二人の仲間が支えて製品化に成功し、その後急成長を遂げた。現在の工場の面積は、5万坪に達している」

 例題は、一文に全部の事柄を盛り込めば、うまく伝わらないという典型例である。「これ」とか「それ」の使い方、読点(、)の打ち方、「に」と「を」の使い分けなど、“基本のキ”が分かりやすく整理されている。

 次週は、シリーズの実務書『メール文章力の基本』を紹介する。(止水)


『簡単だけど、だれも教えてくれない 77のテクニック 文章力の基本』
阿部紘久著 日本実業出版社刊 (1300円+税)
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