旅の蜃気楼

おっかなびっくり、ラオカイへ

2011/06/02 15:38

週刊BCN 2011年05月30日vol.1384掲載

【ハノイ発】異国の街の名称を覚えるのはひと苦労する。それも呼称が似ていればなおさらだ。ベトナムと中国の国境検問所は2か所ある。ベトナム側にある街の名称はラオカイとランソンだ。ラオカイは雲南省に続く街でボーダー(国境)は河で隔たっている。ランソンは広西チワン族自治区に抜ける最後の街で、そのまま車を走らせると立派な建物の検問所がある。ここのボーダーは道で繋がっている。

▼ベトナムは南北に長い国だ。首都のハノイは漢字で書くと”河内”となる。この漢字は私たちになじみが深い。かわち弁の河内だから、字を見た瞬間に親しみを覚える。だが、ラオカイとなると、今回の旅で初めて見聞きする名称だ。これは覚えにくい。何度も地図を見ながら旅をすることになった。まずは、ハノイからラオカイに向かう。

▼ラオカイへは夜行列車の旅になる。心配の種は切符の入手。インターネットで手配したものの、本当に入手できるのか不安だ。ハノイ市内にある旅行代理店へ、地図を頼りに何とか行き着く。大きな敷地の一角にあるこざっぱりしたビルの2階にある小さな会社だ。ドアを開けると誰もいない。事務机が一つで、パソコンがデンと乗っている。

▼「こんにちは」と声をかけると、奥から20代半ばとみえる女性がぬっと現れた。用件を告げると、クーラーのスイッチを入れてくれる。ありがたい。お茶も入れてくれる。さらにありがたい。ソファーに座ってのやり取りとなる。英語の達者な人だ。お礼を述べて帰路につく。人通りの少ない道を歩く。ふと目をやると、若い男が木蔭で放尿中。困ったな。目線があって、お互いにドッキリ。こちらが避ける。切符はその晩にホテルで入手した。さてさて、いろいろありそうな街である。(BCN社長・奥田喜久男)

夜行列車で、早朝、ラオカイに到着。この列車の先に中国の国境の街・河口がある
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