BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『日本人の「正義」の話をしよう』
2011/04/14 15:27
週刊BCN 2011年04月11日vol.1378掲載
勝谷氏は、“正義”の本家であるマイケル・サンデル教授と面会した翌日にアスコムの編集部からメールが届き、この本のタイトルを知らされて、のけぞってしまった。「しかし『ま、いいんでないの』なのである。それが『日本人の正義』だとも思うのである。欧米のような『絶対的な正義』ではない。人びとの人間関係や長年の慣習の中で培われてきた『正義』と言ってもいい」と後書きで述べている。
生粋の職人である岡野氏の「俺たちはこう生きてきた」という話に、勝谷氏が合の手を入れながら自説を展開していくというかたちで対談が進んでいく。
「大学の試験の問題でも何でも、みんな最後には答えがあるんだ。(略)だけど、そんなもん勉強したって始まらねえって思う。答えがあるなら丸暗記すれば試験は通るだろ。だけど、俺は違うよ。答えがねえものを勉強してんだ」(岡野)
「今の日本社会は、味噌も糞も一緒ですね。(略)しかも、糞のほうに基準を合わせるんですよ。だから、味噌は肩身が狭いわけです。そういうのを、ぼくは『馬鹿基準』と呼んでいる」(勝谷)
横丁のご隠居さんに生き方を諭されているようで、ある種とっ散らかした感は否めないが、日本人はかくあるべしという主張が伝わってくる。(止水)
『日本人の「正義」の話をしよう』
岡野雅行/勝谷誠彦 著 アスコム刊(1100円+税)
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