BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『ディシジョンメイキング起業家育成プロジェクトPart1』

2011/03/31 15:27

週刊BCN 2011年03月28日vol.1376掲載

 人は、さまざまな場面でディシジョンメイキング(意思決定)が求められる。東日本大震災の被災地では、刻一刻と変わる状況下で数限りないディシジョンがなされた。今後は、復興に向けて多くのディシジョンを下し、少なからぬ打撃を受けるであろう経済の立て直しのフェーズに入る。中長期的にみれば、危機を乗り越えるための“経済の活力”が不可欠であり、このためには既存のビジネスの延長線上ではない“起業”が必要だ。

 本書は、起業家がどのような状況でディシジョンメイキングを行い、ビジネスを伸ばしたのか、その実例が克明に記されてある。例えば、本書に登場するIT商材系のネット通販で株式上場まで果たしたストリームの劉海涛社長のケース。劉氏は当時、勤めていた亜土電子工業が経営不振の危機に陥り、結果的に起業する選択を迫られた。亜土電子工業が経営していたパソコンショップ「T・ZONE」は、経営母体が転々とした後、2010年末までに撤退している。劉氏は、亜土電子工業時代、海外事業を主体とした仕事をしていたが、経営立て直しのため事業そのものがリストラの候補に挙がっていた。まさに目の前に迫った危機により、劉氏は同事業を引き継ぐ承諾を得たのちに起業へとディシジョンメイキングをした。

 ドトールコーヒーの鳥羽博道名誉会長、アドウェイズの岡村陽久社長CEOなど、本書では7人の起業家にフォーカスを当てている。これからのディシジョンメイキングに役立つ良書だ。(寶)


『ディシジョンメイキング起業家育成プロジェクトPart1』
東出浩教、大久保秀夫共著 ワンプルーフ刊(1600円+税)
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