BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』

2011/03/17 15:27

週刊BCN 2011年03月14日vol.1374掲載

 このところ、すっかり落ち込んでいる日本(人)を勇気づけてくれる本である。

 日本が世界で高感度ナンバーワンであることの根拠として、2006年に英国のBBC放送が33か国・約4万人を対象に世論調査を行った結果を冒頭に紹介している。「世界に良い影響を与えている国」を挙げるというものだが、33か国中31の国で肯定が否定を上回り、うち20か国で肯定が50%を上回っている。

 日本が世界の人たちに影響を与えたものは数多い。浮世絵がゴッホなどの西洋の画家に大きな影響を及ぼしたことはよく知られているが、最近ではマンガやアニメがその役割を果たしている。『キャプテン翼』は、ジダンをはじめ、デルピエロなど多くの一流プロサッカー選手をファンにしている。ドラえもんは、世界の子どもたちを惹きつけてやまない。

 日本といえば、ものづくりである。日本人の技術が残した足跡は世界のあちこちに見られる。台湾の烏山頭ダム、昭和5年に竣工した東洋一のこのダムは、八田與一という技術者が築いたもので、地元の農民たちがその偉業を讃えてダム湖畔に建立した銅像が今も残っている。

 世界の人たちに好かれる日本人は、どのようにして形成されたのか。著者は、「和の精神」「大自然との調和を重んじる心」が根底にあるとみる。そして、そのルーツは天皇にあるというのだ。このあたりの論は、戦後教育を受けた人たちには若干抵抗があるかもしれないが、一読してみる価値はある。(止水)


『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』
竹田恒泰 著 PHP研究所刊(720円+税)
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