今日のひとことWeb版

ひと工夫、ふた工夫が求められるSaaSの売り方

2011/03/08 15:26

 ベンダーがホームページで、中小企業向けのSaaS型業務アプリケーションをアピールしているのをよく見かけます。しかし、これがどれだけの中小企業に受け入れられているでしょうか。

 SaaS事業を展開している業務アプリケーションベンダーに取材すると、「SaaSが売れるとは思っていない」という答えが返ってくることがあります。ベンダー側の認識がこれでは、中小企業に受け入れられるのは難しいでしょう。調査会社アイ・ティ・アールの藤巻信之シニア・アナリストは「SaaS提供というポーズだけを取っているベンダーが少なくない」と手厳しい意見です。

 それでも、SaaS事業を成長分野として明確に位置付けているベンダーも少なくありません。2008年にSaaS事業を開始した業務アプリケーションベンダーのピー・シー・エーは、600社程度のSaaSアプリのユーザー企業を抱えており、精力的に販売活動を展開しています。間接販売のビジネスモデルを維持したまま、実績を伸ばしている興味深い事例です。日本ユニシスは、中小ベンダーのSaaS事業の立ち上げを支援しており、業種・業界を特化した視点から中小企業に訴求しています。

 SaaS事業を軌道に乗せるには、販売チャネルの開拓や啓発活動、中小企業に響く提案手法の確立、自社の事業モデルの転換など、ベンダーのなすべきことはたくさんあります。ただ製品のラインアップに加えるだけでは、さほど売れないのです。(信澤健太)

【記事はこちら】
SaaS提案の近道 地道な啓発活動を踏まえて
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2011.3.8」より
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