中国のインターネット人口は、ここ数年、年率24％を超える勢いで増え続けており、直近では4億5000万人に達している。日本の人口の数倍にも及ぶ膨大なネットユーザーに向けての商売はどうしたらいいのか。本書は、最新の中国ネットビジネスの動向や、日本のベンチャー・中小企業が中国ネット市場に参画するための実務面を詳細にレポートしている。

　市場規模をみると、個人顧客向けが2009年時点で2360億元（約3兆680億円）、法人向けが225億元（約2925億円）。前年比ではほぼ倍増しており、成長の勢いはとどまるところを知らない。個人消費が活発で、その内訳は「ネットオークションが多くを占めているのが特徴」と、執筆者の一人である山田良史・日本情報処理開発協会主任研究員は分析する。代表的なプレーヤーは日本でも有名な淘宝（タオバオ）や阿里巴巴（アリババ）など。本書では、こうした既存の中国大手ネットサービスを活用して商品を販売する方法や、あるいは独立してネットビジネスを立ち上げる手法など、さまざまなアプローチを考察。実践的な内容に仕上がっている。

　ただ、外資が参入するには、付加価値電信業務経営許可証（ICP経営許可証）や関税、国際輸送などの障壁が多いのも事実。徐々に開かれた市場になりつつあるが、「日本と同じ感覚では通用しない」（本書監修の吉田一雄・清和大学法学部教授）。中国ならではの規制対応の指南も充実している。（寶）


『これだけは知っておきたい 中国ネット通販成功の方法』
山田良史・曲 平琳 共著 吉田一雄 監修
総合法令出版刊（1500円＋税）