旅の蜃気楼

“世界の秋葉原”は三つの顔をもつ

2011/02/03 15:38

週刊BCN 2011年01月31日vol.1368掲載

【内神田発】秋葉原に“ホコ天”が戻ってきた。嬉しい話だ。2年7か月ぶり。この長い空白期間に秋葉原の名前を世の中に発信してくれた人たちがいる。“AKB”だ。彼女たちが秋葉原を有名にしてくれた。こう書くと、いかにもAKB通のようだが、テレビを見ない山好きの還暦を過ぎた“オンジ”がAKBが何者なのかを知ったのは、ごく最近のことだ。AKB、正式にはAKB48だ。チームA、チームK、チームBと研究生で構成されている。秋元康プロデューサーが2005年に結成し、2009年に秋葉原に常設の劇場ができた。AKBは秋葉原の略称になるほどの求心力をもっている。

▼秋葉原という街のイメージは、世代によってずいぶん異なるようだ。さすがに、戦後の電気部品店が軒を連ねる秋葉原を思い出す人の数は少なくなってきた。その後は電気街で発展したが、これも古い話になってきた。家電の街からパソコンの街に変化し、秋葉原といえば「ザ・コン」といわれる時代が続いた。ザ・コンとは、ラオックスのザ・コンピュータ館の略称である。この時代がパソコンの全盛期だ。ザ・コンの誕生をきっかけにして、パソコン産業も秋葉原も変身し始めた。

▼時代はさらに進む。ザ・コンが下火になるとともに、秋葉原はメイド喫茶のメッカとなった。あれよあれよという間にサブカルチャーの街に変貌し、秋葉原は世界に誇る三つの顔をもつようになった。デジタル家電の街、サブカルの街、そしてAKBの街。北へ向かえば湯島、アメ横、池之端のディープなゾーンが待っている。東の浅草方面を望むと、デジタル時代のランドマークであるスカイツリーが頭をのぞかせている。西には神田明神、南に歩けばBCNは近い。この地区にはお江戸が残っている。ホコ天にお出かけください。(BCN社長・奥田喜久男)

秋葉原のホコ天復活は、新聞に大きく取り上げられた(1月24日付の日本経済新聞)
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