いまさら聞けないキーワード

<いまさら聞けないキーワード>SaaS(サース)

2011/02/03 15:26

週刊BCN 2011年01月31日vol.1368掲載

〈一般的な解釈は…〉必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアもしくはその提供形態のこと

 「Software as a Service」の略で、「サース」と読む。「Product(製品)」としてではなく、「Service」としてソフトウェア(主にアプリケーション)をユーザーに提供するという考え方で、その提供方法または提供される具体的なサービスを指す。SaaSでいう「サービス」の定義は、利用期間または機能に応じて、ユーザーがその使用料金を支払うこと。ユーザーは、ソフトを「買い取り」ではなく「従量制」で利用することになる。

 提供形態としては、ユーザーがソフトをダウンロードし、ユーザーがもつパソコンなどの端末やサーバーにインストールさせるタイプと、ソフトはベンダーが保有してインターネットなどのネットワークを通じてユーザーにソフトを届けるタイプの二つがある。最近は後者が主流で、この形態でないものはSaaSではないというIT業界人もいる。

 ユーザーがSaaSを使うメリットは、ソフトを動かすためのハードウェアや関連ソフトを用意する必要がなく、短期間で初期コストを抑えながらソフトを利用できることにある。必要な機能や期間だけの利用料金を支払えばいいのも利点だ。一方、ソフトメーカーにとってはSaaSはもろ刃の剣。「Product」に比べて「Service」は単価が低い。販社を通じた間接販売モデルを築きにくい点もマイナスだ。ただし、ストック型ビジネスモデルで、安定的に売り上げを見込めるメリットがある。

 ASPというソフトの提供形態との違いが頻繁に話題になる。これは、提供する情報システムが「シングルテナント」と呼ばれるものか「マルチテナント」なのかという技術的な違い。今は重要な論点ではなく、ASPとSaaSは同義語として捉えてもよい。国内のSaaS市場規模は2012年には2兆円、15年に3兆円規模に達する(ASPIC調べ)といわれる。
  • 1

関連記事

ITR、国内CRM市場を調査、SaaSがパッケージを初めて上回る

ASPIC SaaS普及の準備、着々と 各種ガイドラインを公表

SaaSの衝撃はどれくらいか