北斗七星

北斗七星 2010年11月29日付 Vol.1360

2010/12/02 15:38

週刊BCN 2010年11月29日vol.1360掲載

▼日本から中国に開発を発注していたオフショアの流れが、不思議な逆流現象を起こし始めている。中国がまだ経済発展の前夜だったころ、日本は地の利と両国の賃金格差を生かして、中国にソフトの開発業務を持ち込んだ。このオフショア開発事業はわが国に収益をもたらした。他方、中国にはソフト開発の技術がもたらされた。

▼リーマン・ショックを境にして、その様相が変わった。これまでにも不況はあったが、業種別に需要の景況感にはばらつきがあり、全業種ほぼ一斉に縮小したのは初の経験だ。ITベンダーは、減った売り上げを中国発注分と、国内発注分で補った。外部発注から内製化への切り替えである。これで大手ITベンダーは収益を生み出した。

▼中国のIT企業は経済発展に救われた。ところが、日本は先行きが見通せない景況感に悩まされたままだ。こんな話を国内のIT企業経営者から聞いた。日本の開発企業が中国からの仕事を受けている。それもかなり安く受けているらしい。上海の日系ITベンダーの開発責任者はいう。最近は日本のソフト開発会社が中国企業の見積もりの下をくぐるという。ソフト開発市場の土俵が広がっている。(直)
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