▼羽田空港が国際空港として復活した。成田が国際空港として開港した1978年以来だ。この年、羽田空港からアメリカで開催される「NCC」という今はないコンピュータの展示会を取材するために飛び立った。そして今回、北京に向かう飛行機の中で、羽田空港ビル開業のニュースを見た。この32年の間にコンピュータの世界は様変わりした。企業も人も製品も展示会も市場も、想像を超える速度で移り変わっている。

▼最近はアメリカよりも、中国を訪ねる機会がぐんと増えた。もちろん、今もコンピュータのコンセプトをリードしているのはアメリカだが、中国は未曾有の伸びしろをもつ市場として開花した。とはいえ、カントリーリスクも実際問題としてある。どのように取り組んだらよいのだろうか。

▼今、この実に悩ましい問題を念頭に置きながら、邱永漢氏と一緒に中国の内陸都市を視察している。複雑な市場に吹く風を肌で感じるのが目的だ。邱氏は言う。「日本の土俵を拡げよう」。それにはまず、一歩を踏み出さねばならない。30年先の市場づくりに向けて歩き始めよう。（直）