北斗七星

北斗七星 2010年8月30日付 Vol.1347

2010/09/02 15:38

週刊BCN 2010年08月30日vol.1347掲載

▼クラウドが本格化する前の“踊り場”にあるのか――。米大手ITベンダーの7月期決算に異変が起きている。どちらかといえばハードウェア指向のヒューレット・パッカード(HP)とデルの5~7月期連結決算は、いずれも増収増益。一方、クラウドベンダーの代表格、セールスフォース・ドットコムは、前年同期比で25%増収するも、純利益が30%減った。

▼HPとデルの好業績をけん引したのは、依存度を下げようとしていたパソコンやサーバーなどの機器分野。サービス事業での業績好転ではない。予想を超えた速さで「Windows 7」へのリプレースが進んだことなどが影響した。世界的にサーバー受注の増加は、パフォーマンスの高い機器を入れ、「オンプレミス」でクラウドへの準備をする企業が増えたことや、データセンターへ自社システムを預けるケースが増えたことの裏づけだろう。

▼クライアント周りは、直近の課題を解決する企業が増えたことによる「目先の需要」、サーバーの増加は「将来へ向けた需要」とみていいだろう。後者に関連しては、いままでのようにハードを「箱売り」し、クライアント/サーバー型のシステムを構築するだけで終わる「売り切り方式」だと、将来的にITベンダーの身がもたない。クラウド時代の到来で、IT業界30年史で経験したことのない「商流」の大変革が起きる。ITベンダー各社は自らのポジションを見極め、クラウドの世界での立ち位置を定めなければ、先はない。
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