今日のひとことWeb版

「ながさきITモデル」に試練

2010/08/23 15:26

 県庁のシステムを地場SIerに分割発注する長崎県の「ながさきITモデル」が、IT系媒体で話題になる機会がめっきり減りました。「ながさきITモデル」以前は、県庁のシステムは大手ITメーカーの“ITゼネコン”に一括発注され、地域SIerに何の恩恵ももたらさない状況でした。「ながさきITモデル」は、これを打破する画期的な取り組みとして注目を集めました。しかし、情勢は刻々と変わっているようです。

 「ながさきモデル」を何度か取材するうちに、問題点も浮き彫りになってきました。地場有力SIer社長の言葉を引きましょう。「確かに仕事は増えた。しかし、買い叩かれて案件自体の粗利はゼロ」。仕事は増えたけれど、仕方がなくやっている状況だったのです。

 また、実は県庁システムの発注の半分を、「依然として某ITゼネコンが牛耳っている」ということも、地場SIerからの不興を買っています。

 ところが、時代はすでに「ながさきモデル」を追い越し、クラウドコンピューティングの時代に突入し、「自治体クラウド」の動きも活発化しています。これまでのクライアント/サーバー型と異なるシステムです。

 もはや「ながさきモデル」を云々している時ではありません。地場SIerに何ができるのか。公共事業に比重を置いてきた地場SIerは、大きな分岐点に差しかかっています。(谷畑良胤)

【記事はこちら】
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メールマガジン「Daily BCN Bizline 2010.8.23」より
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