北斗七星

北斗七星 2010年7月26日付 Vol.1343

2010/07/29 15:38

週刊BCN 2010年07月26日vol.1343掲載

▼日本の情報化を推進するうえで、10年ほど前のこの構想に異を唱えるIT業界関係者は皆無だっただろう。政府の「e-Japan構想」の下に全国各自治体が競って整備した「ギガビットハイウェイ」のことに関してだ。光ファイバー幹線で自治体内の市町村を結び、「将来的に民間へ開放する」という名目で張り巡らされた。これがいま、各地で火を噴いていると聞く。

▼2015年までにブロードバンドを全世帯に普及させるという、原口一博・総務大臣が提唱する「光の道」整備の在り方を検討中の作業チームによると、インフラは整備されたものの、利用率は30%超にとどまっているという。巨額な公的資金を投じてつないだギガビットハイウェイもそうだが、道が開かれても利用が伴ってこないのだ。

▼とくに、役所主導で作ったギガビットハイウェイは、利用率が低ければ運用費をまかなえなくなって採算が取れず、委託を受けた事業者も手放さざるを得ない状況にある。CATVなど地域のサービスプロバイダのほうが安価でコンテンツ豊富なサービス提供ができていて、利用者はこちらに目を向けている。“土管”があっても良質なサービスが流れていないのだ。

▼サービスをつくるうえで重要な基盤となるデータセンター(DC)を建てるにも、建築基準法が邪魔をする。欧米の安価なコンテナ型DCは建設を許可されないのだ。IT利活用の進歩に法律が追いつかない。政府内に、この分野について助言する専門家の存在が不可欠と思われる。
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