BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『チャンスをつかむ人、ピンチをつかむ人』
2010/07/22 15:27
週刊BCN 2010年07月19日vol.1342掲載
ここから先、二匹の犬がたどる道は大きく変わっていく。「チャンス」は家を飛び出し、人間が多く住む都会を目指す。一方、「ピンチ」は元の家の周りをうろつきながら、何とか飢えをしのいでいた。結末をいえば、「チャンス」は野犬の群れのリーダーとなり、「ピンチ」は自分を拾ってくれた老漁師の最期を看取り、後を継いだ漁師の家で静かに暮らしている――。
50頁余りに及ぶ「チャンスとピンチの物語」を前提として、裸一貫でタリーズコーヒー・チェーンを築き上げた松田公太流の人生哲学が披露される。この本の底辺を流れるのは「ピンチのときこそ、チャンスである」という物事の捉え方である。スターバックスという巨人が市場を席巻するなかで、タリーズはどのようにして活路を切り開いていったか。書かれている内容に斬新さはないが、名のある刀鍛冶が鍛えた業物のような切れ味がある。
それにしても、和食と洋食をいっぺんに口にしたような妙な味がする本ではある。(止水)
『チャンスをつかむ人、ピンチをつかむ人』
松田公太著 幻冬舎刊(1200円+税)
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