BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『日本経済の真実―ある日、この国は破産します』
2010/06/17 15:27
週刊BCN 2010年06月14日vol.1337掲載
まずは、国の実力を測る指標「GDP」とは何かから始まる。GNPとGDPの違い、名目成長率と実質成長率のどちらを重んじるべきかといったことが解説されている。経済が成長しなくなったら、どんな事態が生じるのか。適切な医療を受けられず、まともな住居に住めず、場合によっては餓死者が出る。「安易に『経済なんか成長しなくていい』という人は、北朝鮮の回し者だと考えておおむね間違いありません」と、辛坊流の言い回しでたしなめている。
『亀は国を滅ぼすか?』という項目では、郵政民営化に逆行する路線を突き進む政策を批判し、「この項のタイトルの意味が分からないですって? あなたカマトトぶっちゃあいけません。ずばりそういう意味です」。
真骨頂は、「小泉・竹中改革の全面擁護」にある。巷間いわれている「小泉が若者の職を奪った」という説は、データをみれば嘘というのが一目瞭然と断じる。読み手は自らの尺度をもって頁を開けば、こんな見方もあるのかと、興味深く日本経済を理解することができるはずである。(止水)
『日本経済の真実―ある日、この国は破産します』
辛坊治郎/辛坊正記著 幻冬舎刊(952円+税)
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