旅の蜃気楼

BCNセミナー直前の怖い話

2010/06/10 15:38

週刊BCN 2010年06月07日vol.1336掲載

【上海発】やはり混んでいる。5月末の上海は前月に訪れた時に比べて、混んでいる。万博の影響だ。ホテルの料金は1.5倍から2倍に跳ね上がった。タクシーもつかまえにくい。とくに雨の上海でタクシーに乗るのは至難の業だ。空車を見つけても、乗車拒否に遭う。この不快な気分は、以前に味わったことがある。そうだ、1980年代の東京だ。懐かしい気分に浸る。上海はいま、成長期の真っ盛りにあるのだ。

▼東京から上海に空路で移動するには、ふた通りのルートがある。成田空港から浦東空港に飛ぶ便と、羽田空港から虹橋空港のルートだ。都心に近い羽田のほうが便利そうだと思って、8時55分の羽田便を予約した。電車は通勤時間帯に入っている。少し大きなスーツケースを持っているから、山手線での移動は次回からは避けたい。自宅のある根津からだと、成田直通のエアポートエクスプレスが予約できる京成上野駅から座って移動したほうが楽だし、気分的にもよい。羽田空港の国際線は、現状は惨めなほど小さな規模だ。秋には新しい施設がオープンするのだそうで、待ち遠しい。

▼怖い話がある。置引きの話だ。マイクロソフト中国の原義弘さんは広州の商談先で、盗難に遭った。「目の前のお客と話をしているんですよ。カバンは盗られないように、椅子のすぐ脇に置いておいたんですがね」。どうも背後から背を縮めて、盗んだものらしい。カバンには、パスポート、デジカメ、電子手帳、書類などの出張用具一式が入っている。パスポートがないので、広州から北京の本拠地まで、飛行機で帰れない。背筋の寒くなる話だ。置引きに遭ったのは、BCNセミナーin上海の開催日の直前だった。原さんには、セミナーのキーノートスピーチをお願いしてあった。前日まで、参加が危ぶまれた。心配は募るばかりだ。当日、開催前に原さんの顔を見ることができた。「ご無事で何よりでした」。いずれ、この顛末は詳しく紹介したい。セミナーもこの緊張感があったせいか、成功裏に終えた。現地で外出する際には、最低限の持ち物で出かけようと思う。(BCN社長・奥田喜久男)

BCNセミナーin上海は、おかげさまで定員を上回る参加者に集まっていただき、盛況を博しました
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