旅の蜃気楼
そうか、ここは中国なんだ
2010/05/06 15:38
週刊BCN 2010年05月03日vol.1332掲載
▼彼が部屋に来た。長身の20代の青年だ。あまり身ぎれいではなかったが、オタクっぽい知的な雰囲気を漂わせていた。パソコンを触り始めた。「問題はそこからなんだよ。そこまではできるんだよ」。案の定、彼もできない。そこで彼はIPアドレスを入力し始めた。それでも接続ができない。策が尽きたのか。「10分後に戻ってくるから」といって、部屋を去った。10分後にはネットには入れるぞ、しめしめ。20分待った。30分待った。どうしたのだろうか、聞き違えたのだろうか。まあいいや、2日も待ったのだから、でも来ないな、と思いつつ会食の予定時刻が迫ったので、こちらも部屋を後にした。ついに最終日が来た。フロントに事の顛末を伝えた。「よく分かりません」の一言で終わった。そうだ、ここは中国だった。
▼中国の市場は広大だ。とくに上海は万博の開幕で賑わっている。現地で会った人は合言葉のように「4倍ですよ」という。どうも“4”という数字がキーワードのようだ。速くではなく、とてもとても速く、といったニュアンスだ。街の流れはそんな速度で動いている。道路は混んで交通マナーが悪い、と思っていたら、幹線道路のマナーは良くなっていた。クラクションの音が減った。
▼BCNは今後、国内と同じレベルで中国の取材を開始します。沿岸地区と内陸のおよそ20都市を対象として、現地で活躍している企業の素顔を取り上げていきます。乞うご期待。(BCN社長・奥田喜久男)
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