北斗七星

北斗七星 2010年5月3日付 Vol.1332

2010/05/06 15:38

週刊BCN 2010年05月03日vol.1332掲載

▼日本と中国の政府では、IT産業の捉え方が異なる。4月下旬に中国・成都で開催された「中国国際ソフトウェア博覧会」。中国中央・地方の両政府高官が「IT産業の発展なくして国の発展なし」と、口々に語る姿があった。対する日本。現職の国会議員ですら「ITは票にならない」と、IT産業の振興は“二の次”の姿勢だ。

▼もう一つ、中国は最初から世界を見据えてITを振興しているという違いがある。現段階ではBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の名の下、世界のソフトウェア開発を下請けすることに精を出している。

▼「なんだ下請けか」と安堵する日本のITベンダーは多いかもしれない。だが、インドのIT産業の発展をみれば明らかなように、BPOの経験を経て、ノウハウを蓄積して世界に発信できるIT産業を育てている。つまり、世界に出たい日本IT産業にとって、中国は脅威になるのだ。

▼経済産業省が出した「特定サービス産業」の2月度速報では、2月までの9か月連続でITサービス産業が前年同月比マイナスとなった。4月以降は持ち直してくることだろう。しかし、厳しい状況は続く。IT産業自体の大きな変革が必要だ。この変革を実現できなければ、日本のIT産業は朽ち果てる。中国政府は、省別に産業発展を競わせて成果をあげる。日本では「道州制」への移行が話題となっているが、道州単位で力を寄せ合って具体策を練るというのはどうか。政府に任せていては、未来はないからだ。
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