旅の蜃気楼

エレコムの社会貢献に参加してみた

2010/04/15 15:38

週刊BCN 2010年04月12日vol.1329掲載

【熊野発】4月4日、三重県熊野の山で植林をした。熊野に出向いたその日は、前泊した伊勢から紀勢本線で尾鷲に向かった。そこから車で入り江に沿ってくねくねと走り、山に向かって30分。正面に伐採して山肌の見える箇所がある。ざっと、一山分ほどある。ここを20年かけて、自然林に戻す活動がある。「山の自然の力に人が少し手を添えて自然林を作るのです」と三重大名誉教授・武田明正先生。初めて植林したのは昨年11月。今回が2回目だ。時の経過で山は自然に森を作る。その森がきれいな水を育み、豊饒の海を取り戻すのだ。

▼その日の11時過ぎ、200名ほどの人が集まってきた。大型バスが到着し、30名の若者が降りた。エレコムの新入社員だ。その後から社長の葉田順治さんが元気な声を張り上げながらやってきた。「このきれいな入り江を見てくださいよ。森は海の恋人なんですよ。山の樹木は美味しい水をこの湾に注ぐんですよ」。

▼この山の植林は曽根町の氏神さんである飛鳥神社に事が始まる。村が社殿を改築するのに資金を借りた。その返済にやむなく材木を充てた。その後、山は放置されたままで荒れ始めた。そこでエレコムの葉田社長が熊野出身ということから話が持ち込まれた。事の成り行きと自然林を作る20年計画を聞いて、エレコムは社会貢献を承諾した。

▼胸丈ほどに生い茂ったシダを下刈りした斜面に、クスノキ、サカキなど8種類の木の苗を植える。葉田さんはヤマザクラを植えた。生家は材木商という。クワの扱いも上手で、新入社員にお手本を見せるほどだ。植林は地元の子供たちや大人の一般参加で、大いに賑わった。式典は尾鷲市長、三重県緑化推進協会長も列席して執り行われ、地元の人たちの笑顔で溢れた。エレコムはリーマン・ショック後の落ち込みを社員一丸となって跳ね返し、創業初の最高益を記録した。「経営者冥利に尽きますよね」。葉田さんの顔がほころんだ。(BCN社長・奥田喜久男)

「森は海の恋人なんですよ」と、植林に精を出す葉田社長
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